当時、橘田にイメージを伝えるため購入したインテリアの洋書 |
その後を変える橘田との出会い橘田のコーディネートを依頼 今でも橘田がそのマンションに初めて来た日のことを覚えています。 エドワード鈴木氏は橘田がアメリカでインテリアの勉強を終えて帰国したときに「日本でもこんな素敵な設計をする人がいるんだ」 と思い設計事務所に応募書類を出したことがあるというほど、彼女自身が大好きなテイストのマンションだったということもあり、 2人でその完成後の姿を想像し大興奮でした。 その後どういったテイストが好きなのか、どういう暮らし方をしているのか、といったミーティングを 何度ももちインテリアの方向性を決めていきました。 私にとってインテリアの出会いがこのエドワード鈴木氏の家であったこととそして橘田との出会いからスタートできたことは本当にラッキーなことでした。 この出会いと経験がその後の私のインテリアやライフスタイルの基盤となりました。 あれから色々な家に住み色々な家を国内外で見ましたが、今でもあのときの家が私の理想の家です。 大枠に非常に完成された家があり、そしてこの上ない先生にあたるプロのコーディネーターによって自分の好みをまず知ることから始まり、 そしてそれによって様々な的確な提案をしてもらい、そこからまた合わないものを変更していく作業。その作業を通じて色々なことがわかってきました。 |
欲しいものが欲しい一つ一つ自分の好みがわかってくると、すぐに日本のインテリア事情にぶつかりました。実は私の欲しい物は日本にない場合も多いということ。探すには膨大な時間がかかるということ。 探してもないものがたくさんあるということ。そしてもともといったんツボにはまると妥協できない自分の性格。 しかしここでまた橋田からプロならではのアイデアが出されました。 「アメリカには”インテリアデザインセンター“という全ての家具がそろう場所があり、 そこにいけばクオリティーの高いインテリアショップが軒を連ね、今こうやって詰めていった私の欲しい、必要な家具が全ていっぺんに揃う」ということ。 「アメリカの家具」って?イタリアやその他ヨーロッパの家具というならばなんとなくイメージできるけれど アメリカのインテリアということにまったくイメージも湧かなかった当時の私。 しかし色々その取り扱い家具や値段、クオリティー、納品までの所要時間などを見ていると その提案が理にかなっていることがわかりました。そしてこれがとても面白い素敵なチャンスだということも。 そこで半年かけて全ての主だった家具やカーテンまでアメリカからコンテナで個人輸入することに決めました。 今ある家具で生活できないことはないわけですから半年ぐらいは待ってもまったく問題はないという状況もありましたし、 何よりこの家に相応しいインテリアでこの「作品」を完成させたいという思いもありました。 |
橘田渡米私の「自分の欲しいインテリア像」というものも何度かのミーティングにより大分クリアになり、 それをもとに橘田が雑誌やカタログなどで「出来上がりイメージのプレゼンボード」を作成し、 私達のお互いのイメージの確認がなされました。 そういった作業を通じて私自身、橘田のセンスと人柄に多大なる信頼を寄せるようになりました。そしていよいよ橘田が渡米。 ここからのステップはやや乱暴ではあるのですが橘田が単独で渡米しデザインセンターのソファー、ダイニングテーブル、コンソールテーブル、 カーテン、ベッドリネン、デスクその他くずカゴにいたるまでの、今まで雑誌や洋書からのイメージボードにすぎなかったデザインボードを 実際のショップをまわりながら本物の家具として落とし込む作業をしてくれました。 1週間ほどの渡米で全ての家具をピックアップするという荒業の後、私は橘田から日本で興奮のレポートを受け取ることになります。 そこに出された一覧には日本ではみつけられなかった私の「欲しいもの」が所狭しと並び、 ほぼイメージ通りの家具の選定でした。 その後「実際の家具の写真」を入れてプレゼンボードを作り直してもらい、最終的に購入する家具の決定作業に入りました。 いくつかの家具、たとえばリビングの1人掛けのチェアや書斎のデスクはイメージが少し合わず変更してもらったりしましたが、 ほとんどが初めに作られたプレゼンボードから私が思い描いていたイメージの家具が的確に選ばれていたのに感嘆したのを覚えています。 そしてそこで私が目にした家具達は今まで日本のメーカーで出てきたものとは比べ物にならない豊富なデザインに加え、 ソファーなどのサイズ感もまったく違っていました。 しかし家の大きさや座り心地を考えればとても理にかなっています。次から次へと家具が最終的に決まりいよいよコンテナでの個人輸入に。。 |
実際のプレゼンボード |
コンテナ輸入は大変・・・最終的に輸入を決定した家具達は、一社だけのものではなく様々なメーカーの商品の組み合わせなので それをひとまとめにしてのコンテナでの輸入はまた大変な作業だったと思います。 待つこと半年。。いよいよ家具の納品です。脚が折れてしまっていたドリアデのサイドテーブル、色出しがちがったカーテンなど問題もありましたが、 しかしその実物をみて胸が高鳴りました。奇をてらっているわけではないのに、美しく凛とした家具達。 その色味や微妙な曲線とそれらの家具の組み合わせによって生まれる調和。この家という「作品」が自分というフィルターを通して 完成したことがわかった瞬間でもありました。 余談ですが、一緒に仕事をするようになり10年もすぎてから橘田に、このプロジェクトが当初の予想をはるかに超えた とんでもない作業量と労力でコーディネートフィーの計算をゼロの数1つか2つ間違えたと半ば真顔で言われました。 |
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